『 秘めし呂蒙、今日も太史慈の世話を焼く 』
もともと暴れん坊で有名だったから、怖くて仕方がなかった太史慈さま。
そこに初対面の僕を‘へなちょこ’呼ばわりしたのだから、第一印象はもちろん最低最悪だった。
でも、すぐにその口で‘強いんだから自信を持て’と言って、僕を認めてくれた。
その言葉が嬉しくて嬉しくて、自分ではどうしようもないくらい舞い上がってしまった。
僕はこの人について行くんだ!
文官になりたいという気持ちは吹っ飛んでいた。
任官試験以来付き従っているうちに、太史慈さまのいろんな顔を見ることになった。
見た目通り豪快だけど、繊細な面も持っていて、周りの人の機微をちゃんと感じ取っている。
いろんな意味で強い人、そして、甘くはないけれど本当に優しい人。
この人を知れば知るほど、どんどん魅かれていく。
憧憬とか尊敬とか敬愛とか、そんな言葉だけではもう足りなくなっている。
男同士でどうのこうのってつもりは無いんだけど…。いや、無いことも無い…かなぁ…(照
と、とにかく、頑張って将軍になっていつか太史慈さまの隣に立ちたい、それが今の僕の願い。
でも、お酒に関しては、めっぽう強いんだけど だらしないんだよなぁ、この人…。
今も馬小屋で、酔いつぶれてグゥグゥ寝ちゃってますよ。
「太史慈さま、起きて下さいよ、こんな所で寝ないで下さい」
ゆすってみた。駄目だった。
「早く起きて下さい、僕じゃあなたをお部屋まで運べませんよぉ」
叩いてみた。駄目だった。
「鼠に引かれても知りませんから…」
くすぐってみた。駄目だった。
「ねぇ太史慈さまったらぁ……もうっ…起きないと イ タ ズ ラ しちゃいますよ!」
・・・・・・。
何気に言った言葉だったけれど、ふとある考えがよぎってしまった。
ぐっすり眠った太史慈さまの顔を間近で覗き込む。
・・・・・・。
意外とカワイイ寝顔を眺めているだけでも楽しいけれど、意を決してぐぐっと顔を近づけてみる。
僕の唇と、太史慈さまの唇がそっと触れ合った。
すぐに離れて様子を窺うけれど、やはり起きる気配はないようだ。
「えへへへへ…、すみません太史慈さま、唇奪っちゃいましたぁv」
本当はもっと触れてみたいけれど、さすがにこれ以上の失礼をはたらくわけにはいかない…よね?
「太史慈さま、大好きですよ…」
この寝顔を眺めているだけでも幸せな気持ちになれる気がする。
「もうっこんなに好きにさせといて、責任取って下さいよぉ……なんてね、太史慈さま、本当に起きないんですかぁ?」
つっついてみた。駄目だった。
「ふぁ〜、僕も眠くなってきたなぁ、ここで一緒に寝ちゃおうかな…」
僕は太史慈さまの胸に横から被さった。心地よい鼓動が聞こえてくる。
「御休みなさ〜い、太史慈さまv」
−了−
( 2007.07.27 里武 )
MЕM0にUPしていたものに大幅加筆修正。
ええっと…、呂蒙視点だとガラにもなく乙女チックまっしぐら…な……ぐはっ(吐血 ○| ̄|_
自分の太呂観を形にするとこんな感じというか…。
つまり、太呂は砂が吐けるほどラブラブ甘甘がイイよ、ってコトかな…。#09で呂蒙が言っていた‘馬小屋で寝てしまった太史慈’をイメージ。呂蒙まだ片思い中。
追記:ゲームアプリでは、‘強いんだから自信を持て’と言われて天にも昇る気持ちになった呂蒙ですが、
すぐには文官を諦めてません。
そして、呂蒙は酔いつぶれた太史慈を兵舎まで担いで帰りましたよ…。